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健康で生きる力をつける講座
2022年3月12日

コロナ最前線病院の実態

十三市民病院 院長

西口 幸雄 先生

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①入院患者をどうするか
4月14日、十三市民病院をコロナ専門病院にすることが発表され、ネットでも大きな騒ぎとなりました。
患者間・患者-職員間などの感染を防ぐため、入院患者も4月30日には全て転院させました。
近隣の病院は多大な協力をしてくれましたが、患者さんからはお叱りの声もありました。

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②外来をどうするか
コロナ専門病院として一般患者の感染リスクなどを考慮すると外来は閉めることになりました。
風評被害もあったため自然と少しずつ外来患者は減少していました。もちろん手術も中止です。
5/1には入院患者の転院も終え、外来は閉めることができたので完全にコロナ専門病院となりました。

 

③風評被害「マンションのエレベーターにのせてもらえない」「子供を保育所に入れてもらえない」「抗がん剤が少なくなってきたのでリストから外します」「コロナがうつるから、早くバスのドアを閉めろ」などなど、たくさんの風評被害の中、職員一同逃げずに戦ってきました。

④激励

激励の手紙や千羽鶴、弁当やお菓子の差し入れがありました。

風評被害もある中、応援してくださる方もしっかりといて、

とても元気を貰い、対コロナへの大きな活力となりました。

⑤支援物資
即席ラーメンや防護服などの支援物資がありました。

松井市長も訪問してくださり、応援してくれましたし、
三国中学校は感謝の凧を作成してくれました。

これらも大変役に立ち、感謝の気持ちでいっぱいです。
 

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⑥職員の教育
まず一番大事な防護服の使用法です。感染対策に関しては定期的に講習会を開くことで職員に徹底した感染対策をさせることができました。コロナ専門病院として怠るわけにはいきません。

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⑦ゾーニング

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表のようにゾーニングを行いました。レッドから直接グリーンに行けないように必ずイエローゾーンを挟んでレッドとグリーン間を移動するようにしました。詰所はオープンになっている病院が多いですが、感染対策のためすべてガラス張りにしました。陽性者が救急車で搬送されてきたときは、非感染者と接触がないように細い専用通路を使用して院内へ搬送します。

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⑧防護具

防護具は、検体の運搬やレッドゾーンへ入るときなど、場面によって使用する防護具を明確に分類しました。

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手袋は、高価な手袋で感染対策をしながら、安価な手袋を外側に装着し、高価な手袋の劣化を防ぎます。
ガウンの代替品としてレインコートや粉じん対応防護服タイベックを加工したものも使用し、工夫をします。

 

 

⑨その他の感染対策
その他の感染対策として、食器はディスポーザブルを使用しました。また、治療薬はありませんでしたから、栄養を取って元気になってもらうために、食事にはエディミルなどの栄養剤を取り入れることにしました。
また、ゾーン間連絡も最初はPHSを使用していましたが、防護具の関係上不便であったため、ホワイトボードなどで情報伝達を行いました。非常に多くの工夫が必要です。

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⑩十三市民病院の症例
第5波時、抗体カクテル療法「ロナプリーブ」は、使用した190例のうち悪化した人は3例と大活躍でした。
他に医師のモチベーション低下も大きな課題でした。「コロナを治療するために外科医になったのではない」「内視鏡の研鑽をつまないと技術が落ちる」などの声が上がりました。そこで、新型コロナには感染者数の波がありますから、暇なときは論文を書いてもらいました。そして、コロナ対策を厳重に行いながら外来も再開することとなり、入院患者も少しずつ発生し、スタッフも生き生きしてきました。
看護師も感染対策として患者の正面に立たず、側後方から食事介助を行うなど徹底してきました。
接触機会を減らすようにカメラや離床センサーも使用してみました。

 

⑪まとめ
医師・看護師・栄養士・薬剤師・理学療法士・事務・放射線技師・検査技師など一同で徹底した感染対策を行ったうえで、全職員でコロナに取り組みました。モチベーション低下や風評被害などもありましたが、激励の言葉も頂きながら今も全力で取り組んでいます。

 

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⑫講座後の対談
石垣院長「西口院長先生。お久しぶりです。」


西口院長「今日はありがとうございます。」


石垣院長「コロナ専門病院として、いろいろな苦労があったと思いますが、現在はどのような感じですか?」
 

西口院長「初期は職員の離職が厳しかったですね。時間も経ち、今はだいぶ落ち着きました。」
 

石垣院長「それは先天的に西口院長の性格が明るいから、結果的にみなさんついて来てくれたんですね。」
「初めてお会いした頃、感染者に医師ができることはほとんどないとおっしゃっていましたね。」

 

西口院長「このままでは医者がだめになると一番の危機感を感じ、松井市長にかけあいました。」
「やっとの思いで外来を少しずつ再開でき、スタッフの顔も明るくなりました。」

 

石垣院長「松井市長も私と同じ八尾出身なんですよ。最近は忙しくされているみたいで、
毎年来ていたたまごビルのもちつき大会にも参加できてないんですよ。」

 

西口院長「そうですか!実はわたし餅つき上手いですよ。」
 

石垣院長「それはそれは。それでは是非今年の餅つき大会は参加していただきましょう!」
 

西口院長「話を戻しますと、市長にかけあい、一般診療も少しずつ再開すると、活気が戻りました。」
 

石垣院長「西口院長は色々と応用がきく人ですね。それに先生の明るさも大きく影響したと思いますよ。」
 

西口院長「ありがとうございます。ぜひそちらにも行きたかったです!」
 

石垣院長「また餅つきの日程をお伝えしますので、この人たちが講演を聞いていた人ですよということで、
紹介しますので、ぜひ来てください。ここで、泉大津のドクターをご紹介させていただきます。」

四方先生「こんにちは。見えない敵に対して興味深いお話ありがとうございます。オミクロン株は弱毒性として知られていますが、それでも高齢者が多く亡くなるのは、どういったことが原因だと考えられますか?」
 

西口院長「コロナによる肺炎は起こったとしても軽症です。何が原因かといいますと、コロナによる肺炎によって悪化した誤嚥性肺炎が原因で死に至ることが多いと考えられます。コロナが原因での死はほとんどありません。高齢者施設などでしっかりとしたケアがされてない状態で誤嚥性肺炎となり、それをコロナによる肺炎が悪化させるということです。」
 

四方先生「ありがとうございます。新たな変異株が出ないことを願っております。」
 

石垣院長「コロナによる肺炎は気にする必要はないでしょうね。しかし高齢者で基礎疾患のある患者などの
体の働きが弱っている人は危険ということですね。例年はインフルエンザによる死も多いですが、コロナと比べてどう感じますか?」

 

西口院長「詳しくは何とも言えないですが、同じようなものだと思っております。」
 

石垣院長「そうですね。ということでたまごビルでは体を整えることに重点を置いて対応させて頂いてます。」
 

西口院長「石垣先生がやっておられる免疫力をつけるということが一番大事だと思います。」
 

石垣院長「そうですよね。具体的な方法論がありますので、
また次お会いするときに直接お話させて頂きます。今日はありがとうございました。」

 

石垣院長「そうでしょうね。つまり高齢者になっても基礎疾患などの重症化の基盤を作らないようにし、
『からだ』を整えて、高い免疫力を作っておくということが大切だということですね。」

 

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