健康で生きる力をつける講座
2018年6月9日

​よくある子どもの病気と対策法

静岡県立こども病院名誉院長

​市立岸和田市民病院前院長

​瀬戸 嗣郎 先生

【たまごビル院長 石垣 邦彦 先生】

 

本日は瀬戸嗣郎先生にお越しいただきました。瀬戸先生は、日本の小児科でトップの病院である、静岡県立こども病院の前院長であり、小児科のご経験が豊富な先生です。

それでは、瀬戸先生、よろしくお願いします。

【静岡県立こども病院名誉院長 瀬戸 嗣郎 先生】

ありがとうございます。今日は、1つでも2つでも覚えて帰って下さい。子どもはすぐ熱を出したり、体調を崩したりしますが、緊急で病院に行く必要がある場合を理解してもらえればと思います。今日は症状ごとにお話しします。

​発熱

まず前提として、子どもの体温は高いです。成人では体温が37℃台の人はあまりいませんが、子どもの場合は体温が37℃台であることもよくあります。そして、子どもの熱が高くても、元気であれば大丈夫です。解熱薬を使う必要もありませんし、緊急で病院を受診する必要もありません。子どもの熱のほとんどはウイルス性ですので、抗生物質も不要です。抗生物質はバイ菌を殺す薬ですので、ウイルスには効きません。解熱薬も6ヶ月未満であれば、低体温になる方が怖いので、使わない方がいいでしょう。

熱の上がりかけの時は、大人も子どもも共通して、悪寒、ふるえなどの症状が出ます。しかし、大人よりも子どもの方が、症状は強く出ますので、そこだけを見て慌てないようにしましょう。熱の上がりかけの時に解熱剤を使うのもよくありません。解熱剤を使うのであれば、熱が上がりきった時にしんどいようであれば使いましょう。

発熱で覚えていただきたいことは、3ヶ月未満で生まれて初めての熱は、その日のうちに病院を受診することが鉄則であるということです。3ヶ月未満で発熱がある場合は、検査等も必要ですので、たいてい入院となります。

高熱が続く病気として、0~1歳では、突発性発疹が多いです。また、保育園でもよく流行っているアデノウイルス感染症があります。アデノウイルス感染症は風邪症状で最も高い熱が出る病気で、4-5日高熱が出ます。現在では迅速に検査できるようになっています。突発性発疹もアデノウイルス感染症もウイルス感染なので、抗生物質は効きません。

嘔吐・下痢・腹痛

嘔吐や下痢をしていても、脱水症の有無の確認が重要です。脱水でなければ、下痢をしていても緊急で病院を受診する必要はありません。

脱水症の有無を確認するポイントは、尿が出ているか、涙が出ているか、口の中が乾燥していないかです。眼までくぼんでいたら、ひどい脱水症の状態です。脱水があれば、すぐに病院を受診して下さい。下痢の回数が多ければ、脱水になるわけではありません。数回の下痢であっても、水様便が多量に出れば脱水になります。ロタウイルス感染の時は、脱水になりやすいです。また、下痢の時は便に血が混じっていないかを確認することも重要です。

腸の詰まる病気は緊急性が高いです。腸重積は、1日でも置いといたら大変です。24時間以内の処置が必要です。泣いてぐったりすることを繰り返し、血便も出ます。24時間以内であれば、高圧注腸で治すことができますが、24時間を過ぎると手術が必要になります。

吐いてすごく機嫌が悪い場合はすぐに病院を受診して下さい。半日以上続く嘔吐、下痢のない嘔吐も問題です。点滴ですぐ治まらない嘔吐は、すぐ入院となります。

咳も98%は問題ありません。また、咳だからといって必ずしも胸が悪いわけではなく、咳の50%は実は鼻の問題で、後鼻漏により咳が出ます。残り50%は、喉の炎症や胸の痰により咳が出ます。

咳も下痢も悪いものを外に出す行為で、体を守るためのものなので、止めない方がよいことが多いです。下痢の時も下痢を止める薬は出さず、腸の調子を整える薬を出します。咳の時も咳止めの薬を出しているわけではなく、咳を出しやすくする薬を出しています。

咳の時に重大な病気としては、急性喉頭炎(クループ)があります。これは、冬に流行るウイルス性の病気で、すぐに病院を受診する必要があります。息を吸うときにゼーゼーいっているのが特徴です。

細気管支炎、RSウイルス感染症という病気も注意が必要です。呼吸困難が強い場合は、すぐに病院を受診する必要があります。0歳だったら、半分くらいが入院します。ただし、抗生物質は効かない病気です。入院したら、点滴と酸素吸入、吸引をすることになります。

喘息もがんばらずに、すぐ病院へ行きましょう。昔は、喘息は自分でがんばるように言われていたこともあるようですが、今では色々な治療法がありますので、がんばらずにすぐに病院へ受診して下さい。

予防接種

予防接種に関しては、10月の健康講座でもお話があるようなので、少しだけ話をします。

予防接種は、遅れないよう、適切な時期に受けるようにしましょう。予防接種の数は多いですが、同時接種もしていますので、仕事が忙しくても子どものために受けてください。

日本は欧米に比べて予防接種が遅れています。水痘もようやく最近定期接種となりました。あとはおたふくかぜを定期接種にすることが残っています。私が子どもの頃はなかったのですが、ヒブと肺炎球菌ワクチンの定期接種も始まっています。これは髄膜炎を予防するためです。細菌性髄膜炎は、死亡率が高く、後遺症を残すリスクも高いので、予防することが重要です。

実際、ヒブや肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まってから、細菌性髄膜炎の発症件数が少なくなっています。

抗生物質

世界的に、抗生物質は投与しすぎている状態です。

小児の発熱のほとんどは、ウイルス性で、抗生物質は効きません。そして、抗生物質の乱用による問題点もあります。まず、下痢や発疹などの合併症を引き起こす可能性があります。また、腸内細菌のバランスが崩れ、アレルギーの原因となります。そして、耐性菌の蔓延する危険性があります。

もちろん、抗生物質が必要なケースもあり、その場合は、ちゃんと最後まで飲むことが重要です。途中で止めるくらいなら、最初から飲まない方がよいのです。

伊勢志摩サミットの大きなテーマは、耐性菌をなくそう、抗生物質の乱用と止めようというものでした。2050年には高齢者の1000万人が耐性菌で死ぬという予測もあります。

世界の中で、日本の抗生物質の使用量は真ん中ぐらいですが、世界では保険システムが整っていないので、ペニシリンという安い抗生物質しか使わないのに対して、日本はセフェム系という高い抗生物質を圧倒的に使っています。この高い抗生物質は、色々な菌に効くため、耐性菌ができやすくなります。そのため、日本は耐性菌だらけになっています。

これまで、抗生物質をたくさん使ってきた理由は、医者も患者も安心したいからです。

 

呼吸器感染症は、3日熱が下がらなければ検査を行います。

下痢で細菌性なのは食中毒だけです。食中毒による細菌性腸炎では血便が出ることが多いです。

尿路感染症は、ほとんどが細菌性なので、抗生物質を使います。

診察の際に、家族が抗生物質を医者に求めないで下さい。また、家に残っている抗生物質を飲ませないで下さい。水に溶かしたものも、粉のものも早期に変質しますので、家に薬は残しておかないで下さい。必要な抗生物質は、中途半端に止めないで下さい。医者も適正な抗生物質の使用に努め、要不要を患者に説明する必要があります。

子どもの事故

最後に子どもの事故についてお話します。

1~9歳では、事故での死亡が死因の第2位です。

0~4歳は窒息に注意しましょう。5~9歳は交通事故が1位、溺死が2位です。

乳児の場合は、ミルクを吐いて、詰まらせることがあります。したがって、ミルクを飲ませてからすぐ寝かせず、ゲップをさせましょう。また大人用の布団がかぶさって窒息することもありますので、注意しましょう。

窒息を予防する方法としては、ふわふわの柔らかい布団を使わないことです。その他、コンビニの袋やヒモ類も放置しないようにしましょう。5歳以下に豆類を与えないようにしましょう。3歳以下に豆類を与えることは禁忌です。スーパーボールやBB弾などのおもちゃも家に置かないで下さい。

昨日できなかったことが、今日突然できるようになるのが子どもです。何にでも興味を持ち、口に入れます。丸いものであれば、4cm未満であれば、口に入ります。リスクのある物を子どものまわりから遠ざけることが大事です。

日本は欧米に比べて、物が喉に詰まる事故が多いのです。その理由は生活文化にあると思われ、日本は靴を脱ぐ習慣があるので、部屋の床がきれいで、床に物が置いてあることはよくあると思いますが、欧米では部屋の中でも靴を履く習慣なので、床にはあまり物を置きません。

誤飲するものとしては、タバコが多いですが、ボタン電池を誤飲したら大変です。ボタン電池は胃や腸に穴を開けてしまうので、2~3時間以内に内視鏡で取る必要があります。

家庭内溺死は、たいていお風呂か洗濯機で起こります。トイレで起こることもあります。子どもが登れる台を置くことはやめましょう。また、風呂やトイレの入り口は必ず閉めましょう。そして、残し湯の習慣も止めましょう。親がシャンプーをしている間に、浴槽の中で立っていた子どもが足を滑らせて溺れたケースもありますので、子どもと一緒にお風呂に入っているときは絶対に目を離さないようにしましょう。

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