健康で生きる力をつける講座
2018年10月13日
現代医学のすばらしさを生かし
現代医学が陥っている問題を解決する
-ワクチンについて-
一般財団法人石垣ROB医療研究所
理事長 石垣 邦彦 先生
【石垣ROB医療研究所 理事長 石垣 邦彦 先生】
本日は、DIPEx JAPAN理事長の別府宏圀先生にお越しいただき、ワクチンについてお話をしていただく予定でしたが、急遽、子宮頸癌ワクチンに関する重要なフォーラムに参加されることになりましたので、私が代役を務めます。「現代医学のすばらしさを生かし、現代医学が陥っている問題を解決する」と題し、ワクチンについてお話します。現代医学は素晴らしい治療成果を挙げている一方で、影の部分も出てきております。今日は現代医学の素晴らしさを生かしつつ、現代医学が陥っている問題を解決するようにお話をしたいと思います。
まず根本的な視点として、「からだ」の「しくみ」がスムーズに「はたらく」状態には、必ず上腹部がやわらかい状態があり、その状態であれば、元気で生きることができますし、予防ができます。病気になった場合は、適確な治療とケアーをすることができます。そして、生き生きとした老後、おだやかな死を実現することができます。これは現代医学にも東洋医学にも今までなかった考え方です。しかし、ここにおられる患者さん方はそのことを実際に体験されています。
健康体と慢性疾患の関係図です。「からだ」の「しくみ」がスムーズに「はたらかない」状態の結果として各種の病気になるわけですが、現代医学は結果としての病気を部分的に診断・治療してしまう傾向があります。高齢者になると色々な病気を持っており、一つ一つの病気に対して、薬を処方して対応するということになってしまっています。ほとんどこういう治療がされているのが事実です。非常に大きな解決できない問題を生むことになります。かつて事の真理が分かって、天動説から地動説に考え方が大きく変わった歴史があります。結果としての病気を部分的に診断・治療するという今までの医学の考え方を変えてゆく必要があります。結果としての病気を部分的に、つまり枝の部分をいくら研究しても、今必要とされている予防には結びつきません。
長年慢性疾患の治療にあたり、臨床研究を積み重ねてきて、分かってきたことがあります。それは、上腹部がやわらかい状態になると、呼吸は深くなり、循環が良くなり、人体力学が安定し、自律神経がととのい、内臓全般の動きが活発になるという事実です。元気で生きられ、予防ができ、的確な治療となり、自然なケアーができ、生き生きとした老後がおくれ、穏やかな死を迎えられることが分かってきました。そのため、お迎えが来るまで、人生を楽しむことができることになります。これは臨床的に実証しておりますので、そのあたりのことは体験していただくとよくわかります。自転車の乗り方をいくら教わっても、自転車の乗り方が皮膚感覚で腑に落ちないと乗れないのと同じで、実際に体験していただくと納得できます。
ワクチンについて、本質的なことを知っていただくために、その基礎となる一番基本的なことを理解していただこうと思います。人という生き物は、生まれ、成長し、子育てをし、老化し、死にゆきます。老化と死は子孫に「いのち」をつなぐ大切な役割があります。老化は嫌だ、死は嫌だというのは大きな間違いと生き物としての矛盾を含んでしまいます。子孫に「いのち」をつなぐという大きな誇り高き役割がありながら、そのことを錯覚して、アンチエイジングで老化を逃れようとしたり、死を逃れようとして病院・医師に大事な「からだ」と生き物としての「役割」を丸投げをしたりするようなことは、生きものである人間としての立場・役割をはき違えています。そのため大きな生き物としての矛盾を含んでしまいます。そのあたりが今の医療が直面している一番大きな問題だと私は思います。高齢者に対する医療には特にそうです。
体の「しくみ」の一番の基本は「入り・出」です。細胞だけでは生きられず、外から必要なものを入れて、不要なものを外に出さないと生きられません。食や水、酸素を取り込み、循環と対流を経て、大小便や二酸化炭素として出て行きます。これが生きる「はたらき」の根幹だと思います。一つでもだめになると死んでしまいます。あまり専門的にものごとを追求しすぎると、枝葉末節に入り本質的なことを見落としがちになってしまいます。
宇宙とか自然、これを全体として捉えると、科学とは全体の取り出せる部分だけを取り出し法則化したものです。そのため、科学では分からない、とらえきれない部分が多くあるということです。先ずそのことを理解していただきたいと思います。
科学の影響を受けた近代医学=現代医学では、対象として「からだ」を扱っていますが、「からだ」は宇宙に匹敵するくらい非常に複雑です。近代医学も「からだ」を一部しか分かっていないことを理解しておいてください。
現代医学の予防・治療の手段として、クスリ・手術・ワクチンなどがあります。しかし「からだ」の全体像が分からない状態でクスリを出し、手術をし、ワクチンを打つことになっています。全てがわかっている状態でクスリを出せば、手術をすれば、ワクチンを打てば、よく効くはずですが、わからない部分もある状態でクスリを出し、手術をし、ワクチンを打つことになるので、効果がわからない、薬害が起こる、こういうことが出てくるのです。全体像が分からないから=原因がはっきりとしないから、患者さんによってはクスリが10種類・15種類と出るような事態になるのです。これでは内臓の「はたらき」の弱った高齢者の「からだ」は悪くなるばかりです。当院では、内臓調整で体を整えて、段階的にクスリを止めていくことができます。そうすることでさらに元気になり、自分の人生を全うすることができるようになります。
原因・経過・結果が分かれば、どんな分野においても効果を出すことができます。まさに敵を知り、己を知ればということです。今回であれば、敵とは外の要因、ウイルス・細菌の場合はどういう特性を持っているのだろうか、己とは内の要因、「からだ」はどういう「しくみ」になっているのだろうか、端的に言うと、「からだ」の「しくみ」がスムーズに「はたらく」時には「からだ」にどういう特徴があらわれるのかということです。これは今までの現代医学にも東洋医学にもない新しい考え方です。またウイルスや細菌だけでなく、「からだ」だけでなく、ウイルスや細菌と「からだ」が織りなす関係はどうなっているのかということも重要です。これはインフルエンザのような感染症だけでなく、慢性疾患についても同じことが言えます。的確に病気を知ることができれば、的確な治療ができます。
科学・医学がわかる範囲の中で、原因が一つで病気になる場合は、その原因に対処することでよくなる場合が多いのです。次に紹介する天然痘もその一つです。一方で、慢性疾患のように、原因がたくさんあって、病気になる場合は、一つ一つの原因に対処できないので、よくならない場合が多いのです。
ワクチンの始まりは、18世紀末、エドワード・ジェンナーが天然痘のワクチンを開発したところからです。
たまたま農村の女の人が、「私は前に牛痘にかかったので、天然痘にかかることはありません」と言ったのを聞きました。牛の乳を女性が搾るので、牛の牛痘が移るのですね。それで、経験的に、牛痘にかかった人は、天然痘にかからないことがわかっていたのです。
そこで、ある人の牛痘の水疱から液体を取り出し、その一部をある少年に接種しました。その後、最終的に天然痘を接種しましたが、その少年は天然痘になりませんでした。非常に大きな発見です。
1980年には、この地球上から天然痘がなくなりました。ワクチンのおかげで人類が助かりました。近代医学・現代医学のわかる部分を利用して、非常に大きな成果を出した一例です。
ワクチンとはどんなものでしょうか。ワクチンは抗体を使って、ウイルスや細菌に目印をつけ、ウイルスや細菌と戦う免疫細胞などに知らせる役割を果たします。勘違いしている方も多いと思いますが、ワクチンそのものがウイルスと戦うわけではなく、ワクチンは抗体をつくり、ウイルスや細菌に目印をつける役割なのです。
そして知らせを受けて集まった免疫細胞などがウイルスや細菌と戦います。
抗体は、一般的にY字の形で表現されます。
抗体には可変部と定常部と呼ばれる部分があり、抗原の違いにより様々な構造に変化します。
そして、可変部の構造を変えることで、様々な抗原に臨機応変に対応します。
抗原と抗体の関係は、鍵と鍵穴の関係に似ています。抗原Aに合致する抗体Aができ、抗原Bにはそれに合致する抗体Bができます。そして、鍵と鍵穴のように、合致する抗原が来た時に、抗体は目印として機能します。
ワクチンをなぜ打つのかといいますと、ウイルスや細菌によっては、治療薬がなかったり、急に感染して発症すると重症化しやすいものがあります。
その場合、ウイルスや細菌に対する対策として、感染しても発症しないようにワクチンを打つわけです。
ここからが大事なポイントです。ワクチンには効果が出やすいワクチンと出にくいワクチンがあります。その理由はどこにあるのかといいますと、1対1対応ができるワクチンは効果が出やすいのです。ワクチンの始まりとして紹介した天然痘などは、200年かかって病気がなくなったわけです。これは現代医学の偉業の一つです。その他、麻疹なども私達が子供の頃はよくみかけましたが、今ではほとんどみなくなりました。これも現代医学の素晴らしい成果の一つです。これら、天然痘、麻疹、そして日本脳炎などは、病原体が1つなので、それに対するワクチンが出来ると、効果が出やすいのです。
ところが、効果が出にくいワクチンもあります。原因となる病原体が多い場合などには、ワクチンの効果が出にくいのです。インフルエンザ、肺炎、子宮頸がんなどがそれに該当します。
インフルエンザワクチンについて、知っていらっしゃる方はいますか?Aさんどうですか?自分の経験や印象でも構いませんので、思うところを述べてください。
【患者のAさん】
同じ風邪だと思うのですが、皆がインフルエンザと騒ぐので、特別な風邪かなと思ったり、普通の風邪はかかってから治すのに、インフルエンザは注射で予防しましょうというので、今は打つ回数も1回だったり、2回だったり、それで1回だったらまだかかるよと言われたり、2回したらほとんどかからないよとも言われるし、2回しないといけないのかなと思ったりします。また注射を打っといたら、インフルエンザにかかっても軽く済むよと言われたりもします。自分ではインフルエンザにかかったことはありません。孫などはインフルエンザにかかって、高熱が出て、兄弟3人いるから順番にかかって、予防注射をしている者がインフルエンザにかかったり、注射をしていない者がかからなかったりしました。
【石垣ROB医療研究所 理事長 石垣 邦彦 先生】
そうですね。とても感性の豊かなご意見でしたね。ワクチンを打つ対象者は、健康な人です。
ワクチンを打つ場合にはその効果の出やすさも考慮しないといけません。もちろん、ワクチンを打てば、副作用が出る可能性もあるわけですから打つか打たないかは慎重に検討しないといけません。
ワクチンを打っても病気になるケースがあります。先程Aさんが仰ったように、インフルエンザではワクチンを打っても病気にかかる場合があれば、ワクチンを打っていないのにかからない場合も多々あるのです。皮膚感覚で感じておられる、その通りです。
その「しくみ」はどうなっているのかといいますと、ワクチンの効果が出にくい例として、まず、細菌やウイルスが変異し、ワクチンが目印をつけにくい場合です。抗体が出来ても、抗体が細菌やウイルスにつく前に既に細菌やウイルスが変異していたら、抗体が目印としてつきにくくなります。
次に、免疫力が下がっていて、細菌やウイルスと戦う力が「からだ」にない場合も、ワクチンを打っても効果が出にくいのです。「からだ」の働きが弱っていたら、細菌やウイルスと戦う力もありません。抗体をつくる力もない場合もあります。
そして、病気の原因となるウイルスや細菌が複数あり、ワクチンでカバーできない場合もワクチンが効きにくいのです。
ワクチンが効きにくい具体的な例をお示しします。
例えば、肺炎です。肺炎球菌ワクチンという言葉をよく耳にしますが、肺炎球菌は肺炎になる原因の一つです。肺炎球菌ワクチンは、当然、肺炎球菌以外には効きませんので、ワクチンを打っても肺炎になるケースがあります。また、肺炎になる高齢者は免疫力も下がっていますので、ワクチンを打っても細菌と戦う力がない場合もあります。
次に、子宮頸がんです。子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの原因となる13種類のウイルスの中で、HPV16・18型にのみ対応しています。
したがって、子宮頸がんワクチンに含まれていないウイルスによる子宮頸がんもあるのです。
つまり、ワクチンを打っても、子宮頸がんになるケースがあるのです。
次にインフルエンザです。かぜを引き起こすウイルスは100種類以上あります。インフルエンザも風邪です。昔は流行性感冒、流感と呼びました。あまり恐れる必要はありません。ところがインフルエンザが強調されるあまり、何か恐ろしいもののように感じてしまうわけです。
インフルエンザウイルスにはA、B、Cの3種類があります。今年、何が流行するかはわかりません。あらかじめ作ったワクチンが的外れになったら、効くわけがありません。
また、インフルエンザウイルスは変異が多いのです。例えばA型のインフルエンザウイルスですが、変異が起こると、A型という範囲の中で少し違うウイルスになります。
新型のインフルエンザもA・B・Cのインフルエンザが変異したものです。新型でも過度に恐れる必要はありません。
変異したウイルスには目印がつけにくいのです。ワクチンを作っても、ワクチンを打つ段階になって、既にウイルスに変異が起こっていたら、せっかくワクチンを打っても、できた抗体がウイルスに目印をつけにくくなります。
次に、インフルエンザワクチンに関するデータをお示しします。昔はインフルエンザワクチンが定期接種だったのですが、途中から定期接種ではなくなったためにワクチンの使用量が減りました。しかし、ワクチン使用量が多い期間でもインフルエンザの患者数が多い年があり、逆にワクチンの使用量が減っても、インフルエンザの患者数が多くなったわけではありません。このデータをみると、ワクチンを打っても打たなくても、インフルエンザにかかるか、かからないかは、あまり関係がないことがよく分かります。つまり、インフルエンザワクチンは効かないということがよく分かります。
インフルエンザの自然経過もよく覚えておいてください。インフルエンザであろうが、風邪であろうが、同じような経過をとります。感染して、潜伏期が2~3日あり、それから寒気が出たり、咳が出て、治っていきます。インフルエンザは1週間程度で治る病気です。過度に心配する必要はありません。ただ、老人施設などで、弱ったお年寄りがかかると、やはり死の病となります。しかし、その死の病を、今の日本は強調しすぎではないかと思います。これは厳しいように聞こえますが、やはり老化と死は子孫に命をつなぐ役割です。そういう意味で、一人ひとり老いも若きも、老化と死の役割を、自分自身の問題としてよく考えていただく必要があると思います。
症状にも意味があるということをよく覚えておいてください。発熱の意味は、ウイルスそのものが熱に弱いという特性をもっていることです。長年ウイルスとのつきあいのある「からだ」はそのことをよく知っていて、熱を出してウイルスの「はたらき」を抑制します。次に咳ですが、咳の意味は異物を外に出すことです。風邪は鼻から喉にかけての炎症なので、咳をすることでウイルスと粘液を外に出し、呼吸も楽になってきます。治りやすくなります。下痢も同じで、ウイルスを外に出し、回復を早くしようとする意味を持っています。したがって、こういう状態にクスリは不要なのです。熱はある程度辛抱する、咳をする、下痢を止めない。これをクスリで止めると、重症化・長期化します。
ワクチンがないウイルスや細菌はたくさんあります。今、ワクチンがあるのは特定したウイルスや細菌のみです。ワクチンがない、未知のウイルスや細菌もまだまだあると思われます。さあ、そういうときにもどうするかが重要です。
ワクチンは健康人に接種することが前提なのですから、健康を害することがあってはならない、はっきりとした効果がないと、やっぱりワクチンは打つべきではないと思います。
内臓調整をさせていただくと、ほとんど風邪を引かなくなります。もちろん、むちゃくちゃ無理をして、体力を落としたら、風邪を引きます。通常の生活をしていたら、風邪は引かなくなります。それは、自分の総合的な免疫力ができたからです。したがって、風邪を引かなくなりますし、風邪を引いたとしても、非常に軽くて済みます。
子宮頸がん、インフルエンザ、肺炎などにはたくさんの原因があり、ワクチンは効きにくく、副作用が起こる可能性もあります。打たなくていいと私は思っています。自分の免疫力をつけるのが一番大事だと思います。これはどんな慢性疾患も同じことが言えます。糖尿病・高血圧・変形性膝関節症・心臓の病気などについてもほとんど同じ構造です。だから慢性疾患についても前もって予防することができます。それぞれの慢性疾患にも原因はたくさんあります。体全体がスムーズに「はたらく」状態をつくるのが慢性疾患の予防・治療には重要です。
まとめです。最後に頼りになるのは、「からだ」の「しくみ」がスムーズに「はたらく」状態です。これが、人類が今まで意識していなかったことです。
上腹部がやわらかい状態になると、呼吸が整います。循環が良くなります。自律神経が安定します。人体力学が正常になり姿勢が良くなります。内臓臓器全般の動きが整います。全て整うと生きる力が生まれます。私はこれを総合的免疫力と呼んでいます。総合的な免疫力がついてきます。ただワクチンを打つことにともなう問題だけでなく、生活全般が整います。生活が非常に面白くなります。気付き・発見が非常に深くなります。ただただ、病気を治すことだけでなく、内臓調整によって体を整えると、日々の生活が大変楽しくなってきます。その上で病気を治すことだけが目的でなく、いかに社会貢献もできるかを考えていきましょう。
原因因子をやっつけるため、ワクチンで個々の病原体に対応する抗体をつくることに目をうばわれていますが、総合的免疫力をつけることがより大事です。外から物を入れて、自分では努力せず、楽に元気になりたいというのが人間の浅はかさです。その延長線上がサプリメントです。さらにその延長線上がクスリです。だからこれを改めましょう。自分の「からだ」の内臓を整えましょう。自分の「からだ」が強く、総合的な免疫力があれば、いくらインフルエンザが流行していても、インフルエンザにはかかりません。
そういう意味で、ROB医療で総合的な免疫力をつけてやると、本当に風邪を引かなくなります。このウイルスにはこのワクチンを打とうというのは、やはりしてもいいものといけないもの、必要なものと必要でないものがあります。だからどんな安全と思われるワクチンでも、一度ご相談ください。今日の講座はこれで終わります。