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健康で生きる力をつける講座
2019年11月2日

インフルエンザ対策

DIPEx JAPAN 理事長

別府 宏圀 先生

石垣 邦彦

【石垣ROB医療研究所 理事長 石垣 邦彦 先生】

今回は、DIPEx JAPANの別府宏圀先生にお越しいただきました。

薬について何十年と頑張って来られた方です。非常に素晴らしい方で、色々な薬害で国と戦ってこられています。しかし、一般の方は薬害についてほとんどわかりません。インフルエンザについても、予防接種やその他のお薬があるのですが、非常に疑問な点があります。当院で内臓調整を受けている方は別ですが、一般の方はなかなかそんなことまでわかりません。そういうことを含めて、別府先生はもう何十年と戦ってこられました。やはり、大勢の方の意識を変えることは非常に難しいです。しかしながら、やらなければならないということで、今年もお越しいただきました

先程も、別府先生とお話をさせていただいたのですが、人間という生き物のよくできた体の仕組みを意図的に変えることはできないのではないでしょうか。それほど人間の体の仕組みはよくできています。別府先生が先ほどおっしゃったのは、体の仕組みを邪魔しないようなことをすべきだということです。みなさんの一般的な医療に対する認識と違います。しかし私がいつも述べていますように、今は結果としての病気を部分的に診る医療ですが、これからは体の仕組みがスムーズに働く状態を医療に適応すべきです。医療という狭い範囲ではなしに、生活全般にそういう認識を持つべきです。たまご保育園誕生のいきさつもそういうところからきています。

 

たまご保育園では、体の仕組みがスムーズに働く状態を、保育を通して身につけてもらいます。50代・60代になったら、慢性疾患の予防が自ずからできているということなのです。そういうことを踏まえて、園児だけではなしに保護者にも家庭にもそれが伝わり、保護者も元気になり、その波が日本国中に伝われば、非常に素晴らしい日本になるのではないかと、こういうことなのです。そういうことも含めて、9月8日に河内音頭祭りで浴衣も着て、浴衣も着せ、園児も保護者も保育士の先生も、あの37℃の暑い中、がんばって踊りました。すごいことですよね。そういうふうに、行事を通して、正しいことを身に付けていこう、忍耐力を身に付けていこう、人間としての能力をつくっていこう、それがいい日本の社会をつくり、世界に伝搬していくように持っていこうという思いでやらせていただいております。

 

今日は、インフルエンザについて、本質的なところをお話ししていただきます。よく身に付けて、実践していってください。それでは別府先生よろしくお願いします。

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【DIPEx JAPAN 理事長 別府 宏圀 先生】

よろしくお願いします。私は、毎年ここでお話をさせていただいていますが、今お話にあったようなたいした人間ではございません。しょっちゅう迷ったり、困ったりします。でも、それが実は一番大切なことだと思います。要するに、科学では、エビデンス・証拠があるかないかとよく今いいますが、それほど我々は完ぺきな知識を持っていません。随分進歩したみたいだけど、昔に比べてどれぐらい分かってきたかというと、ほんの少し増えたぐらいです。それをあたかも確定したかのように考え、それと違ったことを言ったり考えたりすると、すぐいろいろ非難されたり、これは間違っている、これは大失投だ、と議論します。議論するのはいいけれども、自分が全能ではないと思うことが一番大事です。

自分は何も知らないと専門家こそがいつも思うべきだと思うのですが、今は逆になってしまっています。ガイドラインとかエビデンスとか、こういうものがなければ医療はできないと思っていますが、実は一番自分のことを知っていて、自分のお子さんのことを知っているのは、実際に育てて脇で見ていらっしゃる皆さんですから、そういった時の感覚はとても大事だと思います。そういった人たちの感覚で何かおかしいと思ったら、ひょっとしたらおかしいかもしれないのです。それをストレートに言える世の中にしてほしいです。こうしたら間違いだとかいうふうに、言い募るばかりではなくて、みんなで一緒にやっているうちに何かしら答は出てきます。もちろん人間の命とか病気とか人間がコントロールできないものはたくさんあります。その中で、自分にとって一番いいものを選べるように、試行錯誤を本当にやってみて、間違って、じゃあこっちだって軌道修正できる、そういう生き方が私は一番正しいと思っております。

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インフルエンザもまさにその通りなのです。
 

インフルエンザということで、よくものの本や国の研究所である国立感染症研究所のホームページにはこう書いてあります。

 

インフルエンザとは、まずインフルエンザウィルスを病原とする気道感染症だが、一般の風邪症候群とは分けて考えるべき、重くなりやすい疾患です。また、インフルエンザの語源は、流行が周期的に現れてくるところから、16世紀のイタリアの占星家たちはこれを星や寒気の影響によるものと考え、影響するというインフルエンスという言葉から出てきたわけです。そして、最後に書いてある通り、インフルエンザはいまだ人類に残されている最大級の疫病であると。

 

なんかおおげさですよね。インフルエンザは昔からありました。私どもはインフルエンザを生き抜いてきました。そこらへんにある病気なのです。それが急に、すごくおっかない病気であるようなことを、国も専門家も言い始めました。本当にそうなのでしょうか。

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『インフルエンザは風邪じゃない』というこのキャッチコピーはすごいと思いませんか。これをテレビでもさかんにいいますが、キャッチコピーとしては秀逸です。これはもう皆さんの気持ちをとらえたはずなのです。つまり、ただの風邪と思っちゃいけないと思わせます。インフルエンザは怖い病気だということを言うためにこう言ったのです。

 

これはつい最近の雑誌からとりましたが、考えてみますと、小児がインフルエンザによって入院するのは1000人に1人です。つまり入院まで至るのが1000人に1人だからそんなにすごい病気だとは思いませんよね。それからインフルエンザで外来に来る人は、もちろん季節や流行等によりますが、その10倍から250倍です。ということは、1000人に1人の250倍だから4人に1人ぐらいは外来にくることも、盛んな時にはあるわけです。もちろんそんなにインフルエンザが流行っていない時にはそれよりも少ないです。インフルエンザは4人に1人ぐらいがかかるような病気なのです。

 

中には、インフルエンザと思っておらず、ただの風邪だと思っている人もいます。実際にインフルエンザのウィルスを検査してみると、ずいぶん軽いのもたくさんいるわけです。だからそんなにすごい病気だという言い方がおかしいのです。風邪じゃないと言うけれど、これは今まで我々が思っていた風邪じゃないでしょうか。その感覚の方が大事だと思います。やたらと怖がらせることだけが能じゃないのです。皆さんも長年生きてきて、インフルエンザを乗り越えてきたわけですけれども、そんなにすごい目にあったとは思わないですよね。もちろん、もう一つ我々がよく覚えている言葉として、風邪は万病の元と言いますので、いろんな場面によっては本当に命に関わることにもなるわけです。

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そういう前提はありますが、私が言いたいのは、インフルエンザは誰もがかかりうる極めて一般的な病気です。しかし非常にまれには重症化して、場合によっては命に関わる場合もあるので、ごく当たり前の病気だからといって、気を許さないことです。インフルエンザウィルスとはどんな相手なのかを知っておくことのほうが大事です。

 

今からちょうど100年前です。スペイン風邪って皆さんよく聞くと思いますが、あれは本当にすごい大流行でした。世界中で流行しましたので、日本の人口が今1億人いるとすると、その約半分、5000万人ぐらいがスペイン風邪で死にました。その時は、皆さん本当に大変な目にあいました。そういう世界中を襲うような、すごい感染症になることもあり得ます。しかし、それがそんなしょっちゅう起こるわけではなく、100年前にそれがあって、そういうことはそれ以降起こっていません。それ以降、色々な知識も増えたし、対策も増えてきたので、そんなことになることはまずないと思います。しかし、頭の片隅にはそういう非常に流行る病気になる危険性もあるのだと覚えておいてください。

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インフルエンザが分かりにくいのは、名前が原因の一つだと思います。季節性インフルエンザや新型インフルエンザ、パンデミックといろんな呼び方をします。そして、それ以外に、鳥インフルエンザや豚インフルエンザ、馬インフルエンザなんていうのもあります。

 

また一方では、インフルエンザではありませんが、SARSもあります。それからよく聞くヘモフィルスインフルエンザというウィルスではなくてバイ菌もあります。Hibワクチンのインフルエンザ桿菌B型というのもあります。こういうものは、実はインフルエンザとは違うのです。だけど、インフルエンザという名前が出てくるから、どれが本物のインフルエンザかわからなくなるのです。

 

一般的に言えば、左側がインフルエンザです。それは動物にもうつるというよりは、むしろ、鳥インフルエンザが一番初めです。鳥が運んでいたインフルエンザが、人間がよく接触する鳥類にも感染して、人間も罹患するようになると言われています。

 

インフルエンザウィルスの一番の特徴は、変異しやすいということです。要するに、顔つきが変わってきます。ただし、変わるといっても、毎年変わるのはほんのわずかな部分だけです。だから今年のインフルエンザワクチンの型は合ったとか合わなかったとかいう話があるのです。WHOとかいろいろなところが調べて、今年はこれだろうと思って作ります。それが当たることもあれば当たらないこともあります。そういうことを考えたら、ワクチンを打ったから安全ということは絶対にありえません。確率は少し減らすかもしれません。そのぐらいのことだと思っていただけばいいと思います。

 

もちろん、途中でウィルスが大きく様変わりすることもあります。そうすると、抗体ができていませんので、鳥に流行って、それが人にきます。しかし、鳥から人に例え1回うつったとしても、それはすぐ人から人へ伝染するウィルスに変わるわけではありません。したがって、鳥インフルエンザという話が出た途端に、それが大流行すると思うのは思い違いであるし、そういうことで恐怖を煽るのはおかしいと思うのですが、ともかくそういう大きな変化をすることも万に一つはあると知っておいてください。それは例えば、スペイン風邪のようなことだろうと思います。

 

ただし今まで100年こうやってきて、あの規模のものは繰り返していないのです。我々も少しは賢くなっているし、いろんな知恵を持っているわけです。そんなに人を怖がらせて、なんの得があるのかと思います。逆に言うと、どうしてそういうふうに怖がらせているかというと、怖がらせておかないと、逆に人々がワクチンのことを怖がって打たなくなると、政府もそういうメーカーも思いこんでいるわけです。ワクチンはみんなが打つものだという思いを植え付けるべく、恐怖感を煽っているのです。

 

ところで、ワクチンはインフルエンザだけではありません。今はすごいことになっています。皆さんもよくご存知でしょうが、私たちが親世代だった頃、子どもにはそんなにたくさんのワクチンを打ちませんでした。今はすごい種類のワクチンを打たせています。ワンショットで何種類か一緒に打つことだってします。そういうワクチンが本当に全部必要なのかと疑問に思います。やり過ぎじゃないかと思うのは普通じゃないでしょうか。普通のお医者さんだったら、このうちどれが本当に必要なのかときっと思います。その感覚が実は正しいと思うのです。

 

もう今は名前が変わりましたが、『大きい小さい』という小児科の先生方が作った雑誌が昔ありました。一般の読者向けの雑誌でした。私はその頃親世代でしたから、自分の子どもにどのワクチンを打とうかといろいろ考えました。そういう時に、その『大きい小さい』という雑誌はすごく参考になって、このワクチンは打とうというふうにやった記憶がございます。

 

今はそれよりさらにたくさんのワクチンが強いられています。B型肝炎ワクチンは打つ必要があるのかないのか、そういうことをいろいろと考えるべきだと思うのです。現場の医師や薬剤師あるいは看護師さんは、親のそういう不安をきちんと聞きながら、これはほどほどでいいのではないかとか、これはやる必要がないのではないかとか、そういう感覚もみんなで議論しながら決めていくことが必要ではないかと思います。

 

ところが、ワクチン産業というのは、今一つの大きな産業になっています。大勢の人に売っているわけですから、これほどおいしい商売はないわけです。黙っていても売ってくれるのです。そういう利益が上がってくればくるほど、これが中止になったり下火になったりしたら大変だと思う人たちがいます。お金のこと、儲けのこと、そこが必ず入り込んでくるのが、こういう世界の問題です。

 

本来、私たちが気を付けなければいけないのは、これが本当に子どもたちや皆さんのために役に立っているのかということです。それをいつも疑いながら見るということが必要だと思います。

 

私が今、一番頭を悩ませているのは、子宮頸がんワクチンです。これは本当にひどいワクチンだと私は思いました。あれでどれぐらいの人を助けたのか、あれでどれぐらいひどい目にあった人がいるか、それこそ比べたら、そんなにみんなにあのワクチンを打とうといわせるほどのワクチンだったのかということです。何も知らない中学生の健康な女の子が、あれを打ったおかげで寝たきりになったり、認知症になったりしています。それは、1万人に1人とかごくわずかだと言うかもしれません。しかし、なった人にとってみれば、生まれてきた意味を全く奪われてしまうわけです。誰がそういう目に合うか、実は専門家すら分かりません。実は、選別方法はまだよく分かっていません。それが一番大きいと思います。ともかく、ワクチンといってみんな安心してはいけません。ワクチンほど慎重にかからなければいけません。

 

私は反ワクチン派の医者ではありません。例えば、麻疹のワクチンは確かに必要だと思います。風疹ワクチンも今抵抗がない人たちがいたとしたら、奇形児を生まないために、男性はこぞってちゃんと打つべきだと思います。

 

そういう状況と全部ごっちゃにしないでほしいわけです。ワクチンと言えば全て正義の味方であるように思わないでほしいのです。みんなで一緒に考える必要があるのです。

 

実は、ワクチンって考えてみれば昔は種痘です。その威力は確かでした。だから、ああいう感染症が大変な時には、ワクチンというのはその時代の医学の最先端であったわけです。だけど、それがだんだんいつの間にかワクチンという名前のもとに、みんなが打たなきゃいけない風潮になってきたわけです。私の子は打ちたくないというと、なんかのけ者にされ、おかみの言うことを聞かないなんて思わせるのはおかしいと思いませんか。アメリカなんて、打っていないと学校に入れないという集団もあるわけです。それはもう法律的に禁じるというよりも、もっと厳しい感じで迫るわけです。こんな強制的なことが、本当にワクチンで許されるのでしょうか。そういう意味で、ワクチンはもう1回我々一般の人間の世界に議論を取り返すべきだと思います。いわゆる専門家集団が、審議会という場で議論して、これは有効だとかこれはどうだこうだっていう議論をする前に、もう一度我々がワクチンって一体何だろうと考えることを今迫られていると思うのです。

 

はっきり言って、医療というのは、そんな専門家集団だけが議論する内容ではないと思います。ひどい目に合うのは我々自身だし、我々自身が色々なことを知っているわけです。専門家の人も一緒に、同じレベルで議論しながらやるならいいです。だけど、偉そうな顔をして、これは絶対に打たなければいけないというのはやめておくべきだと思います。

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インフルエンザが混乱を招く原因の一つとして、ABCという型があることも挙げられます。これは皆さんもご存知だと思います。A型が一番形を変えたりして変わりやすいので、ワクチンの中身はA型がどういう変異をしたかによって毎年変えたりします。B型のほうは、今までは数年単位、あるいは1年ごとぐらいに流行していましたが、今はほとんどある程度の数があるので、A型と一緒に混合して打ちます。C型は、一度免疫を獲得すると、ほとんど終生免疫が持続しますから、これはもっぱら2歳未満の乳幼児だけです。ですから、我々がインフルエンザワクチンを問題にする時には、ABが問題になります。特にAが非常に変異しやすくて、予測が立ちにくいインフルエンザだということになるわけです。

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これがインフルエンザウィルスです。電子顕微鏡で見ると、こんな格好をしています。その構造を細かく分けると、表面にノイラミニダーゼNAとヘマグルチニンHAという、2つの糖たんぱく質があります。ウィルス自体は自分で増殖できませんから、人間の細胞の中に入ってきて、その力を借りて増殖します。ウイルスが細胞から細胞へうつる時に、このノイラミニダーゼがとても大事な役割をします。またヘマグルチニンは非常によく変化します。だから、ここにあるように、ヘマグルチニンには1から16まで16種類あって、このノイラミニダーゼのほうには1から9まで9種類あります。その組み合わせで、H3N2とか、わけのわからない略語で呼ぶわけです。しかも同じH1A1といっても、微妙にずれていきます。香港型とかソ連型とか聞いたことありますよね。あれはみんなある一時代において、その地域にわっと広がったので、その名前を付けて香港型とかソ連型とかいっているのです。

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ウイルスが少しずつ変わるので、それを見分けながら、どれがはやるだろうかと予測してワクチンを作っています。今までの日本におけるインフルエンザワクチンを見ると、大体3つぐらいを組み合わせています。その組み合わせも段々変わっています。山形、貴州、愛知、あるいは香港型と、こういうふうに2~3年ごとにどこかが変わって、その時の流行りであろうものを選んで打つわけですけれども、これが必ずしも当たりません。これもよく言われる話です。

そういうことで、確かに苦労しているのは分かります。世界中が、今年何が流行るだろうかと予測し、インフルエンザに健康を取られないように、どれをワクチンに使うかを議論するのは結構ですが、逆にインフルエンザでそれほど大変な事態にならないこともあるということを、皆さんにもっと伝えるべきです。

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鳥インフルエンザや豚インフルエンザというものもあります。非常によく似ています。これだって、もともとは人間より鳥が先だったわけです。お互いがウイルスを持ちながら、ウイルス自体も少しずつ変わっていきますので、いわゆるパンデミック、世界中に広がるようなウィルスが出来てくるのです。

とにかくとても変わりやすく、時には大きく変わるというのが、インフルエンザの一番大きな特徴です。だからこそ、非常に有効で、これ1本あれば、間違いなく防げますというワクチンなんて作れません。作れるはずがないのです。

 

インフルエンザは、連綿と何百年に渡って人間と付き合ってきた歴史のある、当たり前のウィルスです。それに対処するのであれば、付き合ってきた我々が一番よく分かっていますので、我々の感覚を大事にしましょうということです。

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季節性インフルエンザと新型インフルエンザ、パンデミックというのは、結局は実は同じものなのです。

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このグラフをどういうふうに見るかといいますと、横軸に第1週から第53週まであります。各年度を第1週から第53週までずっと数えて、そこでどれぐらいの人がインフルエンザに感染したかを見ているわけです。そうすると非常によく分かります。12月ぐらいから感染者が増えて、翌年の1月から3月までがピークです。そして大体5月まで感染者が出て、終息します。ほとんどそういう動きをしているのに、赤の線の年だけ特異でしょう。これが言ってみれば新型インフルエンザだったわけです。こういうできごとがたまに起こるわけです。それを見て、その時点では新型インフルエンザと言います。しかし、もう次の年にはこれは新型とはいえません。前に我々は体験しているわけですから。そういうふうにして少しずつ型を変えながら、流行ったり治まったりそれを続けていきます。それがインフルエンザです。そういうことを考えたら、そのワクチンを絶対的に打ったから大丈夫というようなものではありません。

 

しかし、これをなくせとは言いません。つまり、インフルエンザワクチンを打つなとか、あるいは絶対やめろなんて言いません。多少の効き目があることも事実です。そこまで否定論者ではないのです。自分が打つか打たないか、我々に決定権がほしいわけです。患者さんや一般の市民が自分は打とうか打つまいかそういうふうに悩みながら決めていいのです。我々の健康に関する限りは、自分が決める内容ですから、自分が注射しようかどうかを自分の頭で考えて、もし分からなかったら、いろんな人の話を聞いて、今年やめとこうかなとか、それでいいと思うのです。全員に注射するよう強いること自体がおかしいのです。

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2009年にインフルエンザが大流行しましたが、年齢別でいくと、0歳から4歳、5歳から9歳、10歳から14歳、そして15歳から19歳が主に罹っています。ほとんどの大人はかかっていません。一番そういうのに患っていない、小さい子どもたちがかかることが多い病気です。それはそうですよね。だって彼らはそういうのを経ながら抗体が自然につくのです。

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これからあとは実際の話にうつります。
インフルエンザの伝播ルートは3つあります。1番目は、患者の粘液が、直接鼻や口や目から入り込むというものです。それから2番目は、1番よくある咳やクシャミ、唾からの飛沫です。それが広がってしばらく空中を漂っていますので、それを吸い込むというものです。この飛沫感染が主流です。3番目は、ドアの取っ手や手すり、お金とかを触ってそこからうつるということもありますが、実はこういうところにくっついたウィルスはそんなに長生きしないのです。しばらくたてば死滅します。

 

したがって、少なくとも少しインフルエンザになったら、きちんとマスクをして、人前でクシャミや咳をする時には、できるだけ飛沫を飛ばさないというのが大事な前提です。あとは、感染した人とディープキスでもしなければ、直接入り込むなんてことはありえないわけですから、もっぱらここで注意したらいいのです。

 

気になったら、たまに外出先から帰ってきた時に手洗いをしたらいいでしょう。うがいは全然効き目がないということになっています。

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感染対策は結局これです。要するにここさえ覚えていたらいいわけです。人混みや感染者との接触をできるだけ避けます。それから、インフルエンザが流行っている時には、よくよくのことがない限り、人混みに出ていかないことが一番です。

 

そして、換気や空気をきれいにして、しかも加湿します。湿度が50パーセント以下になると、感染しやすくなりますから、湿度をある程度保つことです。それから保温です。暖かい部屋にすることです。手洗いはさっき言ったように、ある程度は影響力がありますが、それほど効果がありません。マスクはいわゆる目の細かいものが最近よく出ています。そういう防菌性の高いマスクを使ってもいいのですが、通常の季節性のインフルエンザだったら、普通の布製の外科用マスクで十分だと思います。

 

それからあと一つは、ウィルスは日光や消毒薬に非常に弱いですから、患者の衣類とか唾液が付いた着衣からうつるというのは、そもそもごくわずかです。洗濯していただければ、それで充分だと思います。

うがいはやってもあまり意味がありません。

 

そして最後、体の免疫力を保つために、休養をきちんと取ることと適切な栄養管理をすること、それが一番大事です。ですから我々の生活がどれくらいきちんとコントロールできているかによって、かかりやすいかが決まるので、常識的な対策をしていただくことが一番なわけです。

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あと、これですね。もう皆さん、色々な記事でご覧になったと思いますが、タミフルとかリレンザとかイナビル、最近ではゾフルーザとかいろんな抗ウィルス薬が出ていますが、ほとんど意味がないと思ってください。感染期間を1日短縮するか、熱が出ている期間を1日短くするかどうかぐらいです。

 

これを高いお金で買い込んで備蓄するなんて、国の政策はどれだけばかげているかと思います。そんなにお金が余っているのだったら、他に使ってほしいと思います。これが新型インフルエンザのためだと言いますが、新型インフルエンザ、例えばスペイン風邪みたいな猛烈な風邪がくるかなんて分からない状況です。しかもどれがくるか分からないのに、その分からない相手に対して、これが効くって思いこむほうがばかですよね。

 

こんな薬でも効くと信じて、お守り代わりに持つのは、一人の姿勢としては構わないかもしれませんが、国がそのことをやるのはどうかと思います。日本は一時期、世界一タミフルを持っていました。世界中のタミフルを買い占めていたのです。それがどんなにばかげているかということを、我々はきちんと感じないといけません。

 

最後の方に書いてあるゾフルーザは、去年べらぼうに売れました。売れた理由は、開業医の先生方がたくさん使ったからです。こんなのを使ってしまっては、抵抗ができて、耐性ウイルスが増えるということを、学会などでも言ったにも関わらず、あれだけ売れました。今年はさすがに下火になったようですけれども、何か新しい薬が出てくると、それがあたかもすごいものであるかのように思い込まされて、医者が使うことがおかしいのです。

 

解熱剤もあまり強いものを使うのは良くないと言われます。例えば、アスピリンで子どもが脳症になったりします。非ストロイド性消炎鎮痛剤が日本には30種類ぐらいありますが、ボルタレンやロキソニンといった強い解熱鎮痛剤を使うのではなく、せいぜい、カロナールとか子ども用の解熱剤ぐらいにしておくべきで、解熱鎮痛剤をあまり強力に使う必要はないのです。

 

水分をよくとって、栄養をとって、ゆっくり休んでください。そして人前に出ていかないということが一番大事です。

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実際に、ワクチンをどういうふうにして作っているかといいますと、卵にウィルスを付けて、増やして、それを濃縮して、1回エーテル処理します。そして関係がありそうなところだけを精製して打っているのがワクチンです。したがって、ワクチンを打ったから、そのウィルスで風邪が起こることはありえません。ワクチンを打ったとしても、それが当たるか当たらないかはわからないので、あんまりこれを信頼してもしょうがないと思います。

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これは『薬のチェック』という浜先生たちがやっている雑誌の中で、山本先生というお医者さんが話してくれた記事から抜き出しました。ワクチンの効果と害に関する内容ですが、いずれも効果に対しては、ほとんどはっきりしたことが言えません。積極的なワクチン接種拡大キャンペーンをしたけれども流行は阻止できなかったとか、高齢者に単独接種しても累積死亡は防げなかったと言われています。また、高齢者の肺炎罹患に差がみられなかったということも言われており、あまりワクチンが効かなかったというレポートが、彼によって提供されました。これはかなり前の記事ですから、今はどうなっているのだろうと思って、今の論文を見てみました。

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その前に、一つ前橋レポートというものを紹介します。前橋市の医師会が、ワクチンの集団接種を中止に踏み切るわけです。1979年のことです。今から40年ぐらい前になります。その時に、接種後のけいれん発作が問題になって、医師会として中止したわけです。中止しただけじゃなくて、彼らが偉かったのは、中止した後、感染者が増えるか増えないかということを見たのです。そうしたら、打ったところと打たなかったところと全然差がなかったのです。それをちゃんと発表しました。それまでは学童防波堤論というのがあって、学校で子どもたちがウィルスをもらってきて、それが社会や家庭に入ってきてばらまくから、学童にワクチンを打っておけば、インフルエンザは広がらない、防止効果がある、ということを国も専門家も真面目に考えていたのです。それに対して、違うよという反論を証拠で示したわけです。

 

実はこれが報告された後、みんなこの業績の仕事のすごさに感嘆拍手して、みんながワクチンを打たなくなったのです。そうすると、逆にそれに危機感を持った、ワクチン推進の人たちやら、古い頭の人たちが、いやそうじゃない、あの頃の前橋医師会の論文にはこんな欠点があると言って、重箱のすみをつつくような議論をして、これがもうエビデンスとして古いと主張しましたが、そんなことはないです。僕が今読んでも、すごく優れた論文です。

 

この当時、こういうことをきちんと、しかも開業の先生が中心になってやったってことはすごいと思います。これだけのレポートは、世界中で見ても、やった国はそんなに多くないです。ですから、これは本当に日本が誇るべき業績の一つだと思います。これは今も生きています。つまり学校で強制的にワクチンを打っても、インフルエンザは減りませんよ、いう証拠を出したわけです。

 

内容を見たければ、ここのカンガルーっていうネットの中で、今もそのレポートをちゃんと拾うことができます。すごいよく書けている論文です。是非興味が出たら見てください。

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その前橋レポートが1986年に出ました。そしたらワクチンの製造量はかなり減りました。みんな打たなくなったからです。ところが、ここから巻き返しが始まるわけです。なんと、今はほとんどそれに追いついて追い抜くかもしれないぐらいになっています。かなり回復しています。一度、我々は学習したはずなのに、またみんなが打たなきゃならないような雰囲気にさせてしまっている、それがまさに情報操作なのです。

 

なぜそういう情報操作が行われるかというと、一つはワクチンで大儲けしている製薬会社です。今や製薬会社は、WHOにも、それからアメリカのCDCにも、いろいろと経済力でプレッシャーをかけます。だから、ワクチンが減るのは大変だと思って、いろんな手を打つわけです。その結果がこれです。

 

さっきお話したHPVワクチンもWHOが名指しで日本を非難してきました。日本は子宮頸がんワクチンを一時的に遅延にしたり中止にしたりしているから、こんなことをしていると世界中で日本が一番子宮頸がんの多い国になるよと言ってきました。WHOの専門家たちがまともにそんなことを書いてくるのです。しかも恥ずかしいことに、日本の専門家は何にもそれに反論しなかったのです。政府もそれに反論しなかったのです。我々は頭にきたので、インドの小さな医学倫理の雑誌に英語でそれを書きました。そしたら、それはすごい相手に対してインパクトになって、それが逆に今のHPVワクチン見直しにまで繋がっているわけです。ですから、今はWHOだとか、専門家だとかを恐れて、発言を控えることはないのです。思ったらちゃんとその反論をすべきだと思います。

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ということで、さっきの『薬のチェック』の論文以降、いろんなことがあるのを見直してみました。

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ジェファーソンという北欧の学者のグループが、非常にいい研究をしました。それは何かというと、ワクチンの臨床試験論文をずっと集めて、ちゃんとしたある程度の資格があるものを拾い上げて、そのデータを全部まとめて評価しました。3つの対象に対して行っており、1つは健康な小児、それから健康な成人及び老年者です。そういう人たちを対象に、ワクチンを打ってどうだったかということを見たわけです。

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まずは小児についてです。小児に対しての論文は41件ありました。実に20万人ぐらいの子どもに対するデータを集めたわけです。それで分かったことは、インフルエンザ罹患を防ぐための接種必要数は5人でした。それからインフルエンザらしい人を対象にした場合は、接種必要数は12人でした。

 

接種必要数がどういう数字かをまず話します。すごく簡単なことです。1人感染する、かかる人を減らすのに、何人にワクチンを打てばいいかということです。だから、確実なインフルエンザの予防という意味では、5人打つごとに、1人予防できるということです。これは、ある程度意味があることです。インフルエンザ様、つまりインフルエンザらしい人にやった場合でも12人に打つと1人防げるということです。だから、小児に関する限りは、ある程度の効果があります。私もワクチンがいけないとかいらないと言っているわけではありません。

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次に、その治療の必要性について話をしようと思います。これは子宮頸がんワクチンの場合を例に取りながらやります。ここを見ていただくと、CIN2というのは前癌状態です。ワクチンを打った群と打たなかった群、どちらも5000人ぐらいです。ワクチンを打った人では1人も前癌状態になった人はいませんでした。一方、打たなかった人は28人が前癌状態になりました。
ここから注意深く聞いてください。普通だったら、28人発症するところが0人に終わったのだから、つまり28人を100パーセントとすれば、全員予防できたら、100パーセント予防できたというのです。それでHPVワクチンはすごく効きますよ、とても有効ですよという教訓で使われるのです。ところが、よくよく考えてみると、5300分の0と5260分の28ってそんなにすごい差かなと思います。大部分の人は打っても打たなくても前癌状態にならないのです。それがあたかも100パーセントというと、すごい予防効果があるように見えます。

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そういうのを相対リスク減少といいます。何パーセント減らしたか、さっきは28人が0になったら、100パーセント減らしたと言い張るわけです。だけど、絶対リスク減少というのでいくと、この差はわずかに0.0053ですよね。こんなにわずかな差しかないわけです。絶対数として、減っているものは猛烈に少ないのに、100パーセント効きますと言ったらみんなそれを信じてしまうわけです。

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これを見ていただければ、皆さんに納得してもらえると思います。今、2つのワクチンがあったとします。1つのワクチンは、ワクチンを打った群で10人に1人が病気になる。ところが打たなかった群では、10人に2人が病気になります。つまり、ワクチンによって10分の2が10分の1になったわけですから、0.1だけ減らしたことになりますが、この割合でいくと50パーセント減らしたことになります。つまり2人だったのが、1人で済んだのですから、50パーセント減らしたということです。これが相対リスク減少です。そういうワクチンともう一つのワクチンは、ワクチンを打った群では1万人中1人が病気になりましたが、打たなかった群は2人が病気になりました。これだって、半分です。これは50パーセントになります。これが同じだと思いますか。同じだって、誰だって思わないでしょう。Aのワクチンは、すごく効いていますが、こっちのBのワクチンは微々たる力だと思います。ですから相対リスク減少、100パーセント効いたとか、98パーセント効いたというのは、こういう比較をしているのです。これだとみんな一緒にしちゃって、弱いワクチンも強いワクチンもみんな混ぜこぜにしてしまいます。でも絶対リスク減少で表すとこっちの予防効果は0.1、10分の1で、もう一方は1万分の1ですから、全然違います。だから絶対リスク減少のほうが、事実をつかんでいるわけです。

 

もう一つ面白いのは、絶対リスク減少です。それはどういう意味かというと、1人助けるために、何人に打たなきゃいけないかということです。こっちは10人、こっちは1万人です。そしたらどうかというと、Aはすごくすぐれたワクチンだと言えますが、Bはたいしたことないのです。1万人にやって、やっと1人たすかります。

 

それが今の数字の説明です。つまり小児に対するインフルエンザワクチンというのは結構効いています。ワクチン接種必要数が、5とか10っていうのは結構いい数字なのです。

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今度は成人を対象にしてやってみました。そうすると、打った人と打たない人との間で、罹患率が2.3パーセントあったのが0.9パーセントに落ちたということです。つまり相対リスク減少でいうと、70~80パーセントの効果といわれるわけです。すごく効いたように見えます。だけど実は絶対リスク減少でいうとわずか1.4パーセントしか減っていないということです。その逆数を取りますと、つまり1.4パーセント、0.014の逆数を取ると、71という数字になります。これはつまり、何人にワクチンを打てば1人かかるのを助けるかというと71人です。子どもの場合、さっき言ったように5人とか10人に打てば1人助かるのに、大人だとこんなに大勢に打たないと1人助かりません。つまり、大人に対してワクチンはたいして効きません。接種必要数というのは、要するにどれぐらい打てば、1人の人を助けることができるかを見るのに非常にいいわけです。こういうふうに皆さんに説明します。当たりくじだと思ってください。5人買えば1人当たるくじがあれば、誰でも買いたいと思います。だけど1万人に1人なんて当たるくじはよっぽどくじ引きの好きな人しか買いません。得するとは思いません。みんなはずれです。接種必要数というのは要するにワクチンの効き目をどれぐらいそれに投資すれば自分が儲かるかということを見るのにすごく便利な数なのです。それはこの絶対リスク減少の逆数を取れば出てくるわけなので、さっきのを見ると、子どもには効くけれど大人にはあんまり効いていないということがわかります。

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今度は、さっきの論文の老年者・老人を対象にしたものです。これは比較的論文が少なかったので、8件しかありませんでした。対象数も5000人しかいませんでした。でもこれで見るとやっぱり治療必要数28人に1人、あるいは42人に1人です。ですから成人の場合よりはやや見込みあります。しかし、小児に打つ場合とは全然意味が違います。だから子どもには打ったほうがいいかなといえます。最近、お年寄りがインフルエンザで死ぬのだから老人には打たなくてはと随分言うのですが、それほどたいした量じゃありません。42人に打ってやっと、とか28人に打ってとかそういう形ですから、約30人に1人打った意味があります。ということで、今のところ、これまでの論文を全部おさらいしてみると、子どもに対しては確かに効きそうで、これは打っといてもいいかなと思います。それから老人に対しても、かかって重くなりそうな人には選んで打っとくといいでしょう。それから集団生活をしていて、例えば老人ホームなんかにいる人はかかる危険が多いので、そういう人は打っておいてもいいでしょう。でもご自分のうちで、1人で過ごしているような人は、インフルエンザが広がった時、自分の家に閉じこもっていればいいのです。わざわざ出ていかなければ十分防げますから、そういう人まで頑張ってワクチンを打つ必要はないでしょう。それから成人の場合、つまり普通の勤め人や会社員が大枚をはたいてワクチンを打つ意味はどれぐらいあるのでしょうか。しかもこのワクチンはずっと続くわけじゃありません。数年ごとに変わっていくので、次の年にはまた打たなければいけません。普通の健康な成人がインフルエンザワクチンを打つというのは、私は無意味なことをしているのではないかというふうに思います。

 

インフルエンザというのは色々な防ぎ方がありますが、基本的には自分の生活をきちんと、栄養を保って、休むことが大事です。それからいわゆる抗インフルエンザ薬というのを使う、タミフルとかあんなのを飲むのはやめましょう。それからワクチンは、子どもの場合にはある程度打つことに意味があるかもしれません。でも老人とか成人とか健康な成人に関しては、クエスチョンマークが強すぎます。それが私のまとめです。

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結局、ジェファーソンたちのこの3部作レビュー論文を要約すると、健康成人と老年者に対してはそれほどワクチンの効果は期待できないけれども、小児に対してはある程度意味がある、いう結論になりました。

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あとはワクチンの副作用です。実は今、効き目のことばかり言いましたけど、ワクチンって結構副作用があるのです。特にさっき言ったみたいに、HPVワクチンみたいに、本当に生きていく能力を完全に奪っちゃうほどのひどい目に合う人も少数だけど出てきます。これはアメリカのワクチンの被害者の数をまとめたある時点でのデータなのですが、ここで考えていただきたいのは、こういうふうに、個別の症状メインに分割しちゃうと、薄まってしまいます。要するに、色々な副作用を総合して組み合わせて考えたら、ひどい目に合っているのに、一つ一つ分類すると17人とか12人、下手すると2人というようなことがあるわけです。でも実はこれとこれとは同じことである可能性もあるわけです。だから今の副作用報告制度というのは、それぞれの副作用を全部ばらばらに切り分けてしまって、それでこれが何例かという言い方をします。だけど組み合わせて考えた時には結構ひどい事態を起こしているにも関わらず、それを分断することによって、あたかも被害が少ないように印象付ける、そういう役割を果たしています。だから私たちはこういう副作用情報の集め方や読み方に関しても注意が必要です。

 

ということで、以上が私の考えです。ですからワクチンを打つ時には、よくよく考えてください、ということです。インフルエンザはまだましです。そうでないワクチンが多過ぎますから、どうかなと思ったら、多少そういうことに懐疑的な人に聞いてみてください。そうすると分かると思います。私は今、HPVワクチンの裁判にかかっています。これからどんどんいろいろなところで議論が進んでいくと思いますが、どうぞ、HPVワクチンに関しては被害にあった人たちを応援してください。これはすごく大事です。つまり裁判官が決めることではありますが、世間の人たちがそれをどう受け止めているかということをきちんと表明するのは大事だと思います。色々とワクチンの危険性をいうと、すごくそれに対して反発する人たちも多いです。例えば信州大学のイケダ先生がやった仕事もすごくいい仕事ですが、それにケチを付けたり、色々なことをしている人達がいます。だからある程度そういう色々な議論をよく読んでみて、一体世の中ではどういう人たちがどんな議論をしているか、時々目を向けてください。以上です。

【患者さん Tさん】

貴重なご講演ありがとうございました。咳とかクシャミとかで空気中に散布された場合に、どれくらいウイルスは生き残っているのでしょうか。

【DIPEx JAPAN 理事長 別府 宏圀 先生】

今すぐにここで正確に何時間とお答えすることはできませんが、そんなに永遠とは生きていません。まずは沈んでいきますから、せいぜい咳をされたときには、数時間で下に落ちると思います。ただ色々な人が咳をしますから、そういうものが漂っている空間というのは、集団で見た場合にはあると思います。そんなに長い時間ではないと思います。3日も4日も浮いているわけではありません。しかし、人混みに出たら吸う危険性がありますので、注意する必要があります。

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