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健康で生きる力をつける講座
2019年2月9日
第9回東日本大震災チャリティたまご会

南海トラフ地震対策

-八尾市の防災を考える-

八尾市危機管理課

八尾市消防・八尾市民病院・保育園・小学校

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【石垣ROB医療研究所 理事長 石垣 邦彦 先生】

本日は、八尾市から危機管理課・消防署・市民病院・小学校にお越しいただき、重層的にお話を伺います。市民の安心・安全・命を繋ぐということに御支援・御協力していただいております。本日はありがとうございます。よろしくお願いします。
 

健康講座はなぜ行なっているかといいますと、自分の「いのち」は自分で守る、人任せにしないということが1番大事です。2番目には「いのち」を守る予防が大事です。これは防災でも医療でも同じことが言えます。今回は第9回目の東日本大震災チャリティたまご会となります。

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振り返りますと、平成23年3月11日に東日本大震災が起こりました。第1・2回では、関西医大名誉教授の木原先生に放射線や東南海大地震についてお話を伺いました。第3・4回では日本看護大学名誉教授の川嶋みどり先生に、被災地の救済にあたったときの話や被災地での食事について伺いました。

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第5回目には群馬大学の片田教授が来られ、東日本大震災の前に東北の釜石を訪れ、防災教育を行い、震災時には放課後であったにも関わらず、99.8%の生徒が助かったという話をして下さいました。これは非常に奇跡的なことに感じますが、片田教授とその教えを受けた生徒にとっては、「あたりまえ」のことを「あたりまえ」に行い、当然の結果であったとのことです。片田教授には第6回にもお越しいただき、家族の絆を築き、家族を守るという内容のお話をしていただきました。

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第7回は、日頃から親交のある前福島県立医科大学学長兼理事長の菊池先生に来ていただき、東日本大震災のときの甚大な被害と放射能災害、医療体制についてお話していただきました。そして昨年は、福島大学名誉教授の清水修二先生にお越しいただき、放射能災害・風評被害についてお話していただきました。放射能被爆は遺伝しないということを皆さんに学んでいただきました。

 

今回は南海トラフ地震対策として八尾市の防災を考えるために、各界からお話をしていただきます。お話をしていただくにあたって、何が重要かをお話したいと思います。

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まず、「生きる」とは「いのち」をつなぐ行いです。「生きる」ことによって自分の「いのち」をつなぎ、社会的な役割を分担することにより、他の人々の「いのち」をつなぎます。そして、「死ぬ」ことによって子孫に「いのち」をつなぎ、種としてのヒトの「いのち」をつなぎます。

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そういう観点から見ると、防災も医療も、「いのち」を守ることです。ただし、「いのち」を守るには、限界があります。大自然は偉大で、乗り越えることはできません。防災にも限界があり、「生きもの」としての人間の立場があり、自然への畏敬を含んだ、意識・姿勢が大事です。人生にも終わりがあります。その中で、日々の最善の準備と感性をみがくことが大事です。

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 釜石の奇跡を振り返りますと、第5・6回目に講演してくださった片田教授は、東日本大震災の7年前から東北に足を運び、地道な防災教育を行なっておられましたが、大人は聞く耳を持たなかったと言います。そして、東日本大震災の1年前から釜石の子ども達に防災教育を行い、見事東日本大震災の際には、釜石で多くの命が救われました。この話で大事だったのは、まず想定にとらわれるな、ハザードマップを信じるなということでした。医療でも同じことが言え、ガイドライン・基準値を100%信じるのではなく、自分の「からだ」を信じることが大事です。2番目はベストをつくせということでした。津波に関しては、高いところに避難することです。医療では、理屈がわかって、「からだ」が喜ぶ生活を実践できるかどうかです。あとは率先して避難するかどうかです。まず自分から率先して逃げる態度が重要です。医療でも、率先して自分の「からだ」を整えることが重要です。

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片田先生がおっしゃっていたように、子どもの頃からの防災教育は重要です。たまご保育園でも小さい頃からよい生活習慣を身に着けてもらい、将来的によい生活習慣を持った大人になってもらえるように教育しています。よい生活習慣を持った大人になれば、無駄な医療費が削減できます。そして、それを親になったときに伝承してもらえたらと思っています。私からの話は以上です。

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【八尾市危機管理 課長 相原 貴史 様】

 まずは最近の災害について、おさらいしたいと思います。1995年には阪神・淡路大震災がありました。関西では大きな地震は起きないと言われていた中で起きた直下型地震で、多くの方がなくなりました。そして、2011年には東日本大震災がありました。大きな津波が押し寄せ、たくさんの方が亡くなりました。2014年の8月には広島などで過去最大級の豪雨がありました。2016年には熊本地震がありました。14日に震度7の前震があり、16日には震度7の本震がありました。震度7が2回続けて起こった珍しい地震でした。熊本地震の発生確率は非常に低いと言われていましたが、これほど大きな地震が起きてしまいました。地震の発生確率が低いことは、安全であることを意味してはいません。2018年には北海道胆振東部地震が起きました。発電の需要と供給のバランスが崩れて、何日も停電しました。道路の液状化も起こりました。八尾市でも道路の液状化は想定されます。

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八尾市については、南部に大和川が流れ、東部には生駒山地があります。

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八尾市では、現在大きく2つの地震が想定されています。南海トラフ巨大地震と生駒断層帯地震です。

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海溝型地震は一定間隔で繰り返し発生しており、南海トラフ地震では100~200年間隔といわれています。実際に起こった場合、八尾市では震度6弱が想定されています。

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東海地震の発生から年数が空いており、そろそろ南海トラフ地震の周期に入ってきています。

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仮に南海トラフ大地震が起こった場合、赤い部分が、大きな被害が予想されている重点受援県です。被害が想定されていない地域から、被害が想定されている地域へ応援部隊が来ることになっています。ただし、近畿地方についてはその2割しか来ないことになっています。また、その中でも応援が行きやすいのは、被害が大きく、テレビ映えのするところなので、沿岸部や大阪市内に行きやすいと想定されます。八尾市の場合、八尾市に被害が起こっていても、被害が起こっていること自体がなかなか報道されない可能性が十分あると思われますので、どれほどの応援が八尾市に来てくれるかということになります。

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生駒断層帯地震については、発生確率は低いですが、熊本地震も発生確率が低かったわけですから、必ずしも起こらないとは限りません。

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生駒断層帯地震は、直下型の地震といわれています。直下型の地震は、2つのプレートの力に耐えきれなくなった箇所で発生します。

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生駒断層帯地震が発生した場合、八尾市では震度6弱~7が想定されています。

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生駒断層帯地震が発生した場合の避難所生活者数は、八尾市で58000人程度が予想されています。これは約4.6人に1人が避難所生活者になるということです。

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ライフラインもなかなか復旧しませんので、各家庭で1週間程度の備蓄確保が望ましいです。

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このあたりが八尾市の土砂災害警戒区域です。

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大和川が決壊した際には、このあたりが浸水するといわれています。

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大和川の川底の高さの方が、八尾市で生活している高さよりも高くなっています。したがって、大和川が決壊すれば、当然、八尾市の方にも水が流れてくる地形になっています。

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また、八尾市の方では、学校やウイングなどで様々な備蓄を行なっております。

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水、食料、毛布、トイレ等を備蓄しております。

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ただし、八尾市が準備している備蓄だけでは、全ての人がずっと食べていくのは難しいです。そこで各御家庭でも非常食を準備していただきたいと思います。非常時用に乾パンなどを買っていただいてもいいのですが、日常生活で使う食材を多めに常備して使いながら、いざという時に備えるローリングストックをおすすめします。

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ローリングストックというのは、多めにストック食材を買っておいて、古いものから使い、食べて減ったら買い足すようにするという方法です。

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こういうものも災害時にあれば役に立つといわれています。普段飲んでいるお薬やお薬手帳なども災害時のために準備しておいて下さい。

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災害が発生したら、学校や公園などの一時避難所へ行き、身の安全を確保してください。

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災害が収まって、自宅が安全な場合は、自宅での生活をおすすめします。避難所での生活は最終手段と思っておいて下さい。避難所での生活は、全員が極限状態のため、様々なトラブルが発生しやすいです。

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ストレスの原因は様々です。自宅にいられるのであれば自宅にいていただいて、情報収集や飲食物の確保のために避難所に来られることをおすすめします。

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避難所に関しては、従来、行政が運営を行うという考え方が主流でしたが、これまで経験を踏まえて、現在では行政だけでなく、地域のコミュニティによる運営が円滑な運営のために重要であることがわかってきました。したがって、避難所で生活することになった際には、自宅で生活しているときと同じように、自分のことは自分でしていただいて、避難所を利用されている他の方々と共に運営に協力していただければと思います。

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そして、災害が起こったときには、必ずしも家族全員が一緒にいるとは限らないと思います。そこで、災害に備えて、どこに避難するのか、非常食の準備はできているか、どうやって連絡するのかといったことを事前に普段から話し合っておいて下さい。

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家の中の安全対策もおこなってください。

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なかなか固定できない家具もあると思いますが、底に新聞紙を挟んだり、天井との隙間に段ボール箱をつめたりして、倒れてこないようにしてください。また、寝ているところに高いたんすを置いたりせず、家具が倒れてもドアの開閉を妨げないように配置を工夫するなどしてください。

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最後に、防災・減災の基本は、災害の起こり方を知る、弱いところを知る、対策を知るという3つの「知る」が基本になっていることを理解しておいて下さい。

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自分の命を守ることができるのは自分です。災害の時にはとっさに動けない人がほとんどです。日頃から災害時に動けるように訓練をしておいて下さい。また災害時には誤った情報が拡散しやすいので、正しい情報を入手するように心掛けてください。

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【八尾市消防救急救助 課長 橋本 和彦 様】

まず八尾の消防力をお話したいと思います。八尾市の消防本部は高木町にあります。JR久宝寺駅にあるメガシティの屋上に災害時に八尾市一円を撮影できるシステムを供えています。八尾市の消防職員は現在257名です。消防車は12台あります。はしご車も40mと15mの2台を保有しています。40mで、建物の13階に相当します。それを聞くと、14階以上にいらっしゃる方は、不安に思われるかもしれませんが、11階以上の建物になると、スプリンクラー設備といいまして、火災のときに水がシャワーのように上から出てくる設備があったり、消防のホースをつなげられるような水の管が1階から屋上まで通っています。

 また救助工作車も1台あります。救助工作車というのは、レスキュー隊が乗り込みます。八尾市は中核都市になりましたので、救助隊も1ランク上の高度救助隊というものを結成しています。高度救助隊になると、通常の交通救助であったり、列車事故など救助活動に加えて、大規模自然災害の救助ができる部隊となります。
救急車は、現在6台運用しています。全ての救急車に高度な救命処置ができる救急救命士を配置して、救急事案に対応しています。

 

消防にはもう一つ機関がありまして、消防団という組織があります。これは我々とは異なり、普段は皆さんと同じように仕事をされていて、何か大きな災害や火事が起こった際に、地元の方々が自分達の地域を守るというボランティア精神で活動していただいている組織です。八尾市では290名の消防団の方がいて、市内全域に分散して配置されています。
 

大きな災害が起こった際には、我々職員は全員呼び出されて、活動にあたることになりますが、それでも足りないです。いろいろな事案が想定されますので、我々は応援協定というものを結んでいます。まず八尾市で局所的な災害が起こった際には、大阪府内から応援部隊が来るようになっています。大阪府内全域で被害が起こった場合は、全国の消防から緊急消防援助隊が登録されており、全国の消防本部から応援部隊が来ることになっています。
 

ただ、消防からのお願いとしては、自分の命は自分で守ってください。まず手近にできる家具の転倒防止は絶対にやってください。
 

八尾市内に約60の自助防災組織がありますが、最近はお年寄りばかりで、若い人はあまり来ないと聞きます。防災訓練への参加割合は3割です。機会があれば、ぜひ防災訓練にも参加してください。
 

「災害は忘れた頃に来る」と言われますが、我々は「災害は忘れたところに来る」と言います。準備していないところに被害が出るのです。自分の命は自分しか守れませんので、災害に備えて準備をお願いします。

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【八尾市立病院 事務局長 植野 茂明 様】

災害に備えた病院の取り組みについてお話します。八尾市民病院は免震構造になっており、震度7が来ても倒壊しないようになっています。大きな揺れが起こっても、色々な医療機器が転倒しないようにしています。
 

また、仮に災害が起こったとしても、医療用の電源として4割程度の機能で3日間程度の電力がまかなえるようにしています。水に関しても、屋上にタンク、地下に受水槽等があります。受水槽に関しては、5~6時間程度の水をまかなえるようになっています。あと、備蓄の関係でいいますと、医薬品に関しては2~3週間分は備蓄しています。また診療材料に関しては4週間程度の備蓄を行っています。食料は1日3食の3日間は対応できるようにしています。したがって、最低3日間は災害に対応できるように備蓄を行っています。

そして、災害が起こった場合には、負傷者が一気に病院へ来ることが予想されます。八尾市立病院は市の災害医療センターとなっていますが、全ての方を治療することはできませんので、その中でも重症で命を救える方を優先的に治療することになります。災害が起こった際には、八尾市立病院では玄関先にトリアージセンターを設置して、そこで患者さんの負傷の程度を診て、重症・中等症・軽症とランク付けを行い、重症者の方から治療をしていくことになります。
 

八尾市内では災害医療センターだけでなく、災害医療協力病院というものがいくつかあります。貴島病院・八尾徳洲会・厚生会第一病院・医真会八尾総合病院・東朋八尾病院が災害医療協力病院として挙げられます。八尾市・東大阪市・柏原市の3つで中河内医療圏というものを構成しておりまして、その中で連携をとっています。東大阪医療センターには中河内医療圏の救急医療センターがありますので、八尾市立病院で手に負えない方は、そちらにお願いしています。
 

昨年の4月から八尾市は中核都市になりましたので、保健所も大阪府管轄の保健所から八尾市管轄の保健所になりました。保健所とも連携して災害に備えています。

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【八尾市立曙川小学校 校長 森本 徹 先生】

災害に備えた病院の取り組みについてお話します。八尾市民病院は免震構造になっており、震度7が来ても倒壊しないようになっています。大きな揺れが起こっても、色々な医療機器が転倒しないようにしています。
 

また、仮に災害が起こったとしても、医療用の電源として4割程度の機能で3日間程度の電力がまかなえるようにしています。水に関しても、屋上にタンク、地下に受水槽等があります。受水槽に関しては、5~6時間程度の水をまかなえるようになっています。あと、備蓄の関係でいいますと、医薬品に関しては2~3週間分は備蓄しています。また診療材料に関しては4週間程度の備蓄を行っています。食料は1日3食の3日間は対応できるようにしています。したがって、最低3日間は災害に対応できるように備蓄を行っています。

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【たまご保育園 副園長 津田 美佐子 先生】

たまご保育園での災害に備えた取り組みをお話します。

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たまご保育園では毎月2回以上避難訓練を行っており、毎回、地震・火災・不審者の項目を決めて、職員にも抜き打ちで行っています。さすまた講習会やAED・心肺蘇生講習会も行っています。また消防署員立会いのもと、火災に対する訓練も行っています。

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園で備蓄している非常食です。これは子ども1人分の3日間の量です。園児の人数分の量を備蓄しています。

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地震はいつどこで起こるかわかりません。常日頃から緊張感をもって生活することが大切だと思っています。あいさつ・返事・掃除を大切にし、細かい変化に敏感に気付ける感性を育てるようにしています。また日頃から大きい声を出せるように習慣付けています。

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昨年6月にあった大阪北部地震では、たまご保育園では日頃の訓練の成果もあり、朝8時の時間帯にも関わらず、迅速に避難することができました。

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 地震当日は、地域の小学校中学校が休校になる中、たまご保育園は開園していました。職員の小学生の子供も途中帰宅になりましたが、帰宅後保育園に避難でき一緒に昼食をとりました。

 

また、お迎えに来た保護者の方から、会社の同僚の保育園や幼稚園は帰宅させられて出勤できない人や途中でお迎えの呼び出しがあった人もいたようですが、当園は理事長の判断で通常通り開園しました。

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 小さい子どもの命は親しか守れません。当園してきた子ども達の命は、私達保育士が命がけで守ります。緊急時に備えて、頭を使った反射神経の訓練も日々行っています。

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